「ピ−タ−ノ−スの祝福」 渡辺やよい(幻冬舎)
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かつて、こんなに卑猥でおしゃれでかわいくて、夢のような表紙の本があったでしょうか!
まずみなさんに見ていただきたいのはその表紙です。山城えりかさんという沖縄出身のア−ティストが描かれた(゛girl`s garden"という作品?)絵なのですが、一度見ると目が離せなくなり、そして次の瞬間、強烈に「好き、好き、好き!!」と思うのはきっと私だけではないはず。
表紙だけではないんですね。装丁も、表紙から本編へたどりつくまでにある何枚かの紙(正式な名称がわからない)や目次のデザインなんかも、「今から恋の世界に入っていくぞ−」というような、「誘いの力」があってすごくステキなんです。
本編前にこんなに「そのまわり」を楽しめた本は久しぶりでした。
でね、やっぱり本編もすばらしくおもしろいのです。恋をしているときのからだの感覚、相手に対してへも自分のも、がぐっとよみがえってくる感じ。かわいいしね、男も女も。かわいすぎて、胸がしめつけられる。
なぜ、この本を本toちばで紹介したかというと、一番始めの「うん」という中編の主人公のふるさとが、銚子だからです。銚子といえば、わが地元波崎町(現・茨城県神栖市)のお隣りさん。銚子にスポットをあててくれる現代小説はなかなかないですよ、千葉県北部のみなさん!!
(余談ですが、貴志祐介さんの本屋大賞候補作「新世界より」は、神栖市あたりが舞台と想定されます)
とにかく、「うん」には私の耳慣れたそれとは少し違いますが、漁師町っぽい、荒さがキュ−ト(読むと。実際は結構激しい)な方言がたくさんでてきます。
この方言が、キリキリメソメソエロエロしがちな恋愛小説のいい緩和剤になっているのですね。
これはなんとしても千葉の方には読んでいただきたい、堂々のチバボン!
(勝手に)殿堂入りです。 |