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「永遠の出口」

森絵都(集英社刊)

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

千葉で生まれ育った私でも、千葉を舞台にした小説は余り読んだ記憶がありません。
しかも現在の千葉。話しの一場面で登場することは多いと思いますが、
なかなか千葉本に出会う機会がありませんでした。

そんな中、こんな身近な小説を初めて読みました!
まさに千葉・総武線を舞台にした小説。森絵都「永遠の出口」がその本です。

カッコいいとは言えませんが、どこか懐かしい千葉が描き出され、
読み進めるうちに当時の情景も思い出されます。

話しは、一人の少女が大人になるまでの総武線沿線での様々なエピソードが語られます。
誕生日会、千葉そごうでの買い物、国鉄、初めての遠出(当然、千葉!)、反抗期、ヤンキー・・・・。
初めての経験に対する期待、緊張。
ダサいながら、どこか甘い話。自分の身の回りでも起きていたような事件の数々。
ここまで千葉が描かれた本はあったでしょうか。
笑いながら読んで微笑ましく、思い入れから本を持つ手に力も入ります。

また当時を振り返りながら、子供の頃のかすかな記憶、当時の感覚も思い出します。
今となっては「なんで悩んでたんだろう。」「あの世界はなんだったんだろう。」
特別なこだわりも才能もなく、これといってやりたいことも見つからず、
ただ何となく、自分をもてあましていた中途半端な青春時代。

今まで言葉で説明できなかった感覚が「これだ!」と、ハッとさせられました。
全ての人に被るとは思いませんが、あの”もやもや”した感覚がリアルに説得力を持って描き出されます。

最後に主人公は何気なく生活していた日々から、大人へと成長する。
大人となった今の到着地点を確認し、さらに未来へと続くのを確信します。
出しゃばり過ぎず、ポジティブな力を持った小説です。

第1回本屋大賞にノミネートもされた実績のあるこの小説。
舞台がわかれば、さらに楽しめること間違いない千葉本です。。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
  (扶桑社・山口諭)